梅雨に入ると毎年、ひとつの相談パターンが増えます。「半年前に別の板金屋で直してもらったドアの修理跡から、錆が浮いてきました」というご連絡です。先日も稲沢市のお客様からスズキ スイフトスポーツのドアについて同様のご相談をいただきました。「修理直後はきれいだったのに、今年の梅雨前から塗膜がぷくっと浮き上がってきて……」とのことでした。
見た目が綺麗に直っていたはずなのに、なぜ数か月後に錆が出るのか。Porightの職人、代表の緒方(18歳から板金塗装一筋、現在板金塗装歴16年)が現場で積み上げてきた経験から言うと、その原因はほぼ一点に集約されます——下地処理の省略、とりわけ防錆プライマーの工程が省かれているケースです。この記事では、Poright代表 緒方が一台一台に対して行う下地処理の全工程と、省略した場合に何が起きるのかを、実例とともに解説します。
板金後の金属素地が錆びる仕組み——梅雨との関係
板金修理の際、凹んだパネルを元の形に戻す工程では、既存の塗装を部分的に剥がす作業が必ず発生します。凹みを引き出し、パテで形状を整える前に、金属素地が外気にさらされた状態になるのです。
この状態の金属面は非常に錆びやすい。鉄は空気中の酸素と水分が同時に触れると酸化(錆)が始まります。梅雨の時期は湿度が70〜80%を超えることも多く、素地状態の金属が空気中の水分を吸収するスピードが格段に上がります。6月の愛知県一宮市周辺でも、梅雨入り後は工場内の湿度管理が塗装品質に直結します。
問題が起きやすいのは「上から塗料が吹いてあるので見た目は問題ない」のに、下地処理が薄いケースです。プライマー(防錆塗料)が金属素地の上に十分に乗っていないまま上塗りをすると、一時的には錆が見えなくなります。しかし半年〜1年後、塗膜の内側から錆が浮き上がってきます。特にパネルの端部・エッジ部分は塗膜が薄くなりやすく、水分の入口になりやすい箇所です。
板金塗装一筋16年の Poright 代表 緒方は言います。「錆が出た修理跡を剥いでみると、プライマーがほとんど塗られていないか、非常に薄い状態なことがほとんどです。時間短縮のために省いているのか、コストを抑えるためなのか分かりませんが、そこを省略した修理は必ず後で出てきます。梅雨の季節になると毎年同じ相談が来ます」
Porightの下地処理5工程——見えない部分に半日以上かける理由
では、Porightではどのような下地処理を行っているのでしょうか。代表 緒方が一台一台担当する下地処理の全工程を、順を追って解説します。
① 金属素地の研磨(#80〜#180番)
既存の塗装を剥がした後、残った旧塗膜・サビ・油脂をダブルアクションサンダーと手ペーパー(#80〜#180番)で丁寧に除去します。機械だけでは届かないエッジや折り目には手作業が必須です。「この段階の丁寧さが後工程すべての品質を決めます。研磨が甘いままプライマーを吹いても、密着力が出ません」(Poright代表 緒方)
② 脱脂処理(シリコンオフ)
研磨後の金属面を専用の脱脂剤(シリコンオフ)で丁寧に拭き上げます。素地の表面に残った油脂・手の汗・研磨粉が少しでもあると、プライマーの密着が弱まります。「脱脂を丁寧にやるかどうかで、密着力が体感でわかるくらい変わります。省略したくなる工程ですが、ここは絶対に外せません」
③ ウェルドプライマー(防錆塗料)の塗布
金属素地に直接塗布する防錆プライマーです。亜鉛系の成分が含まれており、金属への密着と錆の発生を抑制する効果があります。Porightでは金属素地が見えているすべての箇所にこの工程を必ず入れます。これが板金修理後の錆再発を防ぐ最重要工程です。
④ ポリエステルパテ盛り → 硬化 → 研磨
プライマーが乾燥硬化した後、凹みの形状を整えるためにパテを盛ります。硬化後に研磨して面を整える工程は、プレスラインや曲面の再現に最も時間がかかります。「パテの厚みが均一でないと、後で段差や変色が出ます。プレスラインがある箇所は特に手で確認しながら研磨します」(Poright代表 緒方)
⑤ サーフェイサー吹き → 乾燥 → 水研ぎ(#400〜#600番)
パテの上からサーフェイサー(下塗り剤)を吹いてパテ目を埋め、乾燥後に水研ぎで表面を整えます。この後に初めてカラーベースとクリア塗装の工程に入ります。ここまでの工程で半日〜1日以上かかることも珍しくありません。「見えない部分に時間をかける理由は、それが3年後・5年後の仕上がりと耐久性を決めるからです。急いで短縮した下地処理は必ず後で問題になります」
実例——稲沢市 スズキ スイフトスポーツ(ZC33S)の再修理
今年2月に稲沢市のお客様からスズキ スイフトスポーツ(ZC33S)の修理依頼をいただきました。「昨年1月に別の板金店でフロントドアの凹みを直してもらったんですが、今年の梅雨前から修理跡がぷくっと浮いてきて、最近は錆色が見え始めました」というご相談でした。
現物を確認すると、フロントドアの旧修理箇所を中心に塗膜が浮き上がり、内側で錆が進行している状態でした。旧修理箇所の塗膜を慎重に剥いでみると、金属素地の上に直接カラーとクリアが吹かれており、プライマーはほぼ使われていませんでした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 車種 | スズキ スイフトスポーツ(ZC33S) |
| 症状 | 旧修理箇所(フロントドア)からの錆浮き・塗膜剥離 |
| 依頼元 | 稲沢市 個人オーナー様 |
| 施工内容 | 旧塗膜剥離・錆落とし・ウェルドプライマー・パテ盛り研磨・サーフェイサー・チャンピオンイエロー調色・クリア塗装・ポリッシュ |
| 費用 | ¥52,000(税込) |
| 工期 | 3日 |
「チャンピオンイエローは淡い黄色で、経年変化した車体の色と新しく塗る塗料の色を合わせる調色にも相当気を使う色です。下地処理を適切に行った上で、隣接パネルとの色差が出ないよう丁寧にぼかし処理をかけました。前の修理店が¥18,000程度で直したとのことでしたが、プライマーを省いた修理は必ず後から出てきます。最初からPoright一宮の工程でやっていれば、¥28,000〜¥32,000の範囲で済んでいた修理です」(Poright代表 緒方)
まとめ
- 板金修理後の錆再発は、ほぼ必ず下地処理・防錆プライマーの省略が原因
- 梅雨の高湿度(70〜80%超)は、下地処理が不十分な修理跡の錆進行を加速する
- Porightの下地処理5工程(研磨→脱脂→ウェルドプライマー→パテ→サーフェイサー)で半日〜1日以上かける
- プライマーを省いた安価な修理は、半年〜1年で錆が浮き、再修理コストは2〜3倍になる
修理を依頼する前に「防錆プライマーは使いますか?」と確認するだけで、業者の下地処理に対する姿勢が見えてきます。一宮市・愛知県内で板金修理後に錆が出た、または錆が出る前に適切な処理をしたいとお考えの方は、Porightへご相談ください。
「修理後に錆が出た」「適切な下地処理で直したい」はご相談ください
LINEでお写真を送っていただくだけで、現状の確認と概算をお伝えできます。お見積りはすべて無料。愛知県一宮市のPoright(ポライト)は板金塗装一筋16年の代表 緒方が一台一台を直接担当。「これって再修理が必要ですか?」のご相談からお気軽にどうぞ。
株式会社Poright(愛知県一宮市平安1-6-2)/ 月〜土 9:00-19:00(日祝定休)
著者: 安藤(Poright 事務スタッフ) / 公開日: 2026年6月16日
監修: 株式会社Poright 代表 緒方 博紀(1992年生・18歳から板金塗装一筋、板金塗装歴16年)