「ホームセンターで同じカラーコードのタッチペンを買って塗ってみたんですが、どうしても色が浮いて見えて...」── 先日、一宮市内にお住まいのお客様からこんなご相談をいただきました。フロントドアの浅い駐車場傷を市販のタッチペンで応急処置してから、Poright(ポライト)にご連絡いただいたのです。
同じカラーコードを選んだのになぜ色が合わないのか。そして、タッチペンを塗ってしまった後でも板金修理はできるのか。愛知県一宮市の自動車板金塗装専門店「株式会社Poright」の代表 緒方(18歳から板金塗装一筋、板金塗装歴16年)のもとには、毎年このシーズンになるとタッチペン後の再修復依頼が集まります。本稿では、その理由と対処法を実例とともにお伝えします。
なぜ市販タッチペンで色が合わないのか
車の塗装には「カラーコード」という製造時の色配合情報があります。市販のタッチペンはこのコードに対応しており、一見すると「同じ色」に見えます。しかし問題は、カラーコードが「新車製造ライン時の配合」を指している点です。
車が屋外で使用される間、塗装面は紫外線・熱・酸化・洗車の摩擦を受け続けます。特にメタリックやパール系のカラーは、光輝材の配向が少しずつ変化し、光の反射角によって見える色が変わっていきます。一般的に5年以上経過した車では、同一カラーコードの新品塗料とボディの実色の差が、屋外の自然光下で肉眼でわかるレベルに達することがあります。
さらに、市販タッチペンの塗料はラッカー系が主流です。ラッカーは速乾で使いやすい反面、溶剤が揮発すると塗膜が収縮し、薄く仕上がります。既存のウレタン系塗装とは質感・光沢が根本的に異なるため、「同じカラーコード」でも蛍光灯下では近似して見えても、屋外の自然光・斜め光では全く別の色に見えることがあります。これは板金塗装の現場では「メタメリズム(条件等色)」と呼ばれる現象で、塗装修理の世界では常識です。Porightの職人、代表の緒方は「市販タッチペンで色が完全に合うケースはほぼない。どうせ気になるなら、早めに持ってきてもらうほうが絶対に安くなる」と言います。
タッチペンを塗った後に起きること — 放置で悪化する3つのリスク
① 境界のエッジからサビが進む
タッチペンで塗った箇所と既存塗装の間には、必ずエッジ(段差・境界)が生まれます。このエッジに雨水や湿気が侵入すると、毛細管現象で塗膜の内側に広がります。キズが浅い(下地金属まで達していない)場合でも、タッチペンの塗膜が既存塗装に密着しきれていない箇所からは水分が入りやすく、そこからサビの進行が始まることがあります。「傷が浅いからタッチペンで十分」という判断は、残念ながらサビのリスクを完全には消せないのです。
② 重ね塗りで段差と問題が悪化する
「色が合わないからもう一度塗る」という対応をとるお客様が多くいます。しかし重ね塗りを繰り返すほど、周囲の塗装との段差は大きくなります。3回以上重ね塗りした場合、ラッカー溶剤が下層に影響を与え、既存塗装を傷める可能性も生じます。また異なるカラーコードのタッチペンを何本か試した結果、層ごとに異なる塗料が混在した状態になると、除去工程が大幅に増えます。
③ 修復コストが膨らむ
タッチペンを塗った状態から板金修理を行うには、まずタッチペン層を除去する工程が必要です。何も塗っていない状態からの修理と比べて工程が増えるため、費用が1.5〜2倍になるケースがあります。18歳から板金塗装一筋の代表 緒方は「タッチペンを塗る前に一度見せてほしい。それが一番安く直せる」と毎回のように感じると言います。
実例:タント・フォレスターの再修復費用と工期
Poright(ポライト)が実際に対応した2件の事例をご紹介します。
◆ ダイハツ タント(LA600S)Xブルーイッシュブラックパール
一宮市内にお住まいのお客様。フロントドアの駐車場傷(縦約10cm・下地未達の浅いキズ)に、ホームセンターで購入したタッチペンを2回重ね塗り。「どう見ても色が違う」と感じてご来店。タッチペン除去(溶剤処理)・下地調整・調色塗装の3工程で対応しました。費用 ¥36,000・工期3日。同じキズをタッチペンなしの段階からご依頼いただいていれば、¥22,000〜24,000・工期2日 の見込みでした。差額は最大 ¥14,000 です。
◆ スバル フォレスター(SK9)クリスタルブラックシリカ
小牧市のお客様。リアドアの駐車場傷に、市販タッチペンを4回重ね塗り。「毎回色が違うと感じて別のタッチペンも試した」とのことで、層ごとに異なる塗料が混在した状態でご来店。全層除去・下地補修・調色・本塗装の4工程対応となりました。費用 ¥54,000・工期4日。同じキズをタッチペンなしで依頼いただいていれば ¥26,000〜28,000 の修理で済んでいた見込みです。差額は最大 ¥28,000 にのぼりました。
まとめ — タッチペンを塗る前に一度連絡を
市販タッチペンで色が合わない理由は「経年変化した塗装と新品塗料の色差」と「ラッカーとウレタンの質感差」という二重の壁があるためです。タッチペンを塗ってしまった後でも修復は可能ですが、重ね塗りの回数が増えるほど工程が増え、費用は最大2倍になります。「応急処置してから相談しよう」という行動が、結果として出費を増やすことになるケースを、Porightでは毎年目にしています。
一宮市の板金塗装専門店Porightでは、まず写真をLINEで送っていただくだけで「タッチペン前に持ってきた場合の概算」もお伝えできます。判断材料として、ぜひ気軽にご相談ください。
タッチペン後の状態でも、まずは無料で確認します
「タッチペンを塗ってしまったんだけど...」という段階でも全く問題ありません。LINEで写真を送るだけで概算をお伝えします。
株式会社Poright(愛知県一宮市平安1-6-2 / TEL: 0586-50-2818 / 月〜土 9:00-19:00)
安藤
自動車整備学校を卒業後、整備工場で整備士として7年、その後板金塗装屋として5年、合わせて12年の現場経験を積み、現在は Poright で事務を担当。お客様からのお問合せ対応・お見積り取りまとめ・代表 緒方との橋渡しが日々の仕事。「現場を12年やってきた事務だからこそ、職人の技を分かりやすく伝えられる」をモットーに、Poright のブログを書いています。一宮市生まれ・一宮市育ち。なお Poright の板金塗装作業は、代表取締役の緒方 博紀(1992年生・18歳から板金塗装一筋)がすべて自ら手を入れています。