「修理後、横から見ると塗装の境目が分かるんですが」——Porightに持ち込まれる相談の中で、こうした声は少なくありません。板金塗装でパネルの一部を直した後、「補修した箇所だけ艶が違う」「光の当たり方によって境界線が見える」という経験をされたお客様は多いはずです。
この現象は、部分塗装をする限り避けられない物理的な問題から生じます。新しく塗った塗料とボディの既存塗装の間には、どうしても「端」が生まれます。その端を視覚的に消す技術を「ぼかし(blend)」と呼びます。
愛知県一宮市の板金塗装専門店「株式会社Poright」代表の緒方(18歳から板金塗装一筋、現在板金塗装歴16年)が、ぼかし塗装の仕組みと現場での全工程を解説します。
なぜ部分塗装では「境目」が生まれるのか
板金修理でパネルの一部を塗装した場合、必ず新旧の塗料が接する箇所が生じます。同じ色番号の塗料を使っても、製造ロットの違いや車両の経年変化によって色味は微妙にずれます。特にパール系・メタリック系カラーは見る角度や光源の種類によって色の見え方が大きく変わるため、新品塗料とボディ既存塗装の差が出やすい特性があります。
さらに、塗料の厚み自体も問題になります。新しく塗ったクリア層には厚みがあり、端部では段差が生じます。この段差が光を反射するときに「境界線」として目に映るのです。
これらを一言で言うと、「色の差」と「クリア層の段差」の2つが、部分塗装で境目が見える主な原因です。格安の板金塗装店で修理後に「元に戻らなかった」と感じる場合、この2点の処理を省いていることが多い——板金塗装一筋16年のPoright代表 緒方は、そう現場で感じてきました。
Porightのぼかし塗装 — 全4工程
Porightの職人、代表の緒方がぼかし塗装を行う際、工程は次の4つの順序で進みます。
① 隣接パネルへの足付け研磨
まず、修理パネルの隣のパネルも含めて表面を軽く研磨します。塗料の密着を高めるための「足付け」と呼ばれる作業です。ぼかし範囲に含める隣接パネルをあらかじめ研磨しておくことで、後から吹くぼかし剤がしっかりなじみ、剥がれのリスクが下がります。
② ぼかし範囲の設定
ぼかし(blend)は、新旧塗料の境目を目で識別できない位置まで広げることで成立します。パネルの端まで色を引き伸ばし、そこからクリア層を徐々に薄くしていくことで「塗り終わり」を見えなくします。どこまでぼかすかの判断は経験と観察力によるもので、Porightでは「隣のパネルの稜線を越えた場所まで入れる」を一つの基準にしています。ぼかし範囲が狭すぎると仕上がりに出るため、「必要な範囲をきちんと取る」が優先です。
③ 調色でボディ現物に合わせる
ぼかし塗装でも、調色の精度は不可欠です。いくら境目を広く取っても、色味が合っていなければ差は目立ちます。Porightでは車体番号から色番号を特定した上で、3光源(自然光・蛍光灯・LED)下でボディ色と比較しながら調色します。特に経年した車両では色番号が同じでも数年分の退色が進んでいるため、現物に合わせた微調整が必要です。
④ ぼかし剤(ブレンダー)による段差の消化
「ぼかし剤」と呼ばれる専用溶剤を境目に吹き付けることで、新旧クリア層の段差をなじませます。これを使うことでクリアの「エッジ」が溶け込み、見た目の段差感が消えます。ぼかし剤は塗料メーカーによって処方が異なるため、使っている塗料に対応したものを選ぶことが重要です。仕上げは3光源下での最終確認で、どの光源下でも境目が見えないことを確かめてから納車します。
実例:プリウス(MXWH60)左リアドア — 経年変化したホワイトパールのぼかし
先日、一宮市からお越しのお客様からプリウス(MXWH60)左リアドアの修理をご依頼いただきました。駐車場でこすられた擦り傷が、左リアドアの後部3分の1程度に入っていました。
施工内容は、傷の研磨・パテ処理・プライマー塗装・ベースコート(ホワイトパール040)・クリア2層・ぼかし剤によるドア後端からクォーターパネル前端へのぼかし処理。工期は3日間、施工料金は¥54,000でした。
難しかった点は、このプリウスが5年落ちの車両だったことです。ホワイトパール(040)はトヨタの定番カラーで調色しやすい部類ですが、5年の経年変化でボディ色がわずかに黄みがかっていました。調色で若干黄み成分を加え、ぼかし範囲をリアクォーターパネル前半まで広げることで、「修理した」と言われなければ分からない仕上がりになりました。
ぼかし範囲が広いほど施工費用は上がりますが、Porightの代表 緒方(板金塗装一筋16年)は「ここでケチるとむしろお客様の後悔につながる」という考えで、必要な範囲を正直にご説明してから進めています。「広く取ってくれたおかげで分からなくなった」というお声をいただけることが、この判断の正しさを毎回確認させてくれます。
まとめ — ぼかし塗装の品質を決める3要素
部分塗装の仕上がりを左右する要素は「調色精度」「ぼかし範囲の設定」「ぼかし剤の処理」の3点に集約されます。特に経年した車両では調色の精度が要求されます。「安く直したが後で気になる」という悩みの多くは、この3点のどれかを省略したことから生じています。
愛知県一宮市のPoright(ポライト)では、部分塗装のすべての工程を代表 緒方が直接担当し、3光源確認を標準工程に含めています。「どうせ部分塗装は分かる」と諦める前に、一度ご相談ください。
「修理後に境目が見える」が気になる方、まずはLINEで写真を
LINE写真1〜2枚から「どのくらいぼかしが必要か」と概算をお伝えします。他店施工後に「直したい」というご相談も歓迎です。
株式会社Poright(愛知県一宮市平安1-6-2 / TEL: 0586-50-2818 / 月〜土 9:00-19:00)
安藤
自動車整備学校を卒業後、整備工場で整備士として7年、その後板金塗装屋として5年、合わせて12年の現場経験を積み、現在は Poright で事務を担当。お客様からのお問合せ対応・お見積り取りまとめ・代表 緒方との橋渡しが日々の仕事。「現場を12年やってきた事務だからこそ、職人の技を分かりやすく伝えられる」をモットーに、Poright のブログを書いています。一宮市生まれ・一宮市育ち。なお Poright の板金塗装作業は、代表取締役の緒方 博紀(1992年生・18歳から板金塗装一筋)がすべて自ら手を入れています。